逃避行

映画・小説・舞台・音楽

「痴人の愛」との出会いと読んでみた感想。

新しい領域に踏み込みたいと思って手に取った小説、「痴人の愛」。

実は不朽作品系(こんな風に言っていいものかは置いといて。)は国語の授業以外で触れたことがなく、読書ばかりしていた頃はいつも小説は話題の最新作や自分の好きな作家さんの作品ばかりを読んでいました。

しばらくは読書から遠ざかった生活を営んできましたが、ここ一年、今まで止まっていた”読書”という行為をまた楽しみだして、新たなジャンルや踏み込んでこなかった作品に手を伸ばしてみたいと思うように。

ある日映画館に早く着き過ぎたので、書店に立ち寄りました。

買うつもりはなく、ざっと見ていただけ。

しかし、見ているとやっぱりほしくなるもの。

そして目に留まったのがこの小説。

題名から何か狂った愛のお話っぽいな〜っていう印象だけで裏のあらすじを読みます。

気になる。

男性が女性に魅了され狂ってくのか…?

なんて想像しながら、買うことを決意。 

彼がどんな人なのかも、執筆時の時代背景も、何も知らない無知な状態でこの本を読了しました。

 ※実は乙女の本棚という立東舎の文豪の名作×イラストレーターコラボシリーズで私の好きなイラストレーター、マツオヒロミさんが「秘密」を題材にイラストを描かれていたので、谷崎潤一郎さんの作品は一度手に取ったことがあります。しかし、時代背景や文豪本人に関する知識は全く持ち合わせていませんでした。ちなみに「秘密」のお話はとても好きです。それゆえ買うことを決意したのかもしれません。

 

最初の印象は、ずいぶんズレた考え方を持っている主人公だな、と。 

15の少女を引き取って育て上げ、あわよくば妻にしてしまおうと画策してますから。

でも周りからは勤勉で真面目な会社員なわけです。

 

なかなか理解のできない心情ではありましたが、主人公が語るナオミの美しさの表現は恍惚としいて酔いしれているのがモロに伝わってくるようでした。品があるわけではなく、寧ろ逆へ行くほどそれが一層輝いて見えるのは、重症ですね。ちょっと悪い男性に目がいってしまうのと似ているんでしょうか。そしたらほんの少しだけ理解できるかもしれません・・・。金銭的にヒモっているのはナオミですが、精神的にヒモになっているのは主人公という感じ。全てを理解してそれでも酔いしれてその選択をする主人公は「愚か」かもしれないですが、そこまでできるのもまあなかなかすごいことです。そこまで気持ちで翻弄されて人生を変えてしまったことがなく、想像できにくいからかもしれませんが。

そしてナオミは自由もお金も自らの策略と人たらしで手にして行った最後に見えますね。なかなかな女性です。彼女の浮気性は一種、寂しがりな感じもありますね。かといって、肯定はできません。笑

 

正直に言えば私には少し合わないように感じましたが、それでも読んでみてよかったです。いろんなタイプの作品を読んでいって、自分の思考や感情、感覚が近いものや新たな好みを探していくのも悪くないですね。

 

ゆずりんごの蜜

*・゜゚・*:.。..。.:*

痴人の愛 (新潮文庫) | 潤一郎, 谷崎 |本 | 通販 | Amazon

*・゜゚・*:.。..。.:*

P.S. ですます調で書いてみたけど、なんか書いてて気持ち悪い…。 笑