逃避行

映画・小説・舞台・音楽

消去不能の記憶

映画『記憶屋 あなたを忘れない

脳というのは便利なもので、

嫌な記憶を薄めてくれる。

例えば中学・高校時代の思い出。

大変なことや嫌なことが沢山あったはずなのに、

戻りたいと思えるような良い記憶の方が棲みついている。

全部をまっさらに忘れることはできなくとも、

”いい感じ”に仕上げてくれている。

 

但し、全員がそうとは限らない。

心に深く突き刺さるほどの傷は今すぐに忘れてしまいたい。

でないと生きていけない。そんな記憶もある。

映画の中の主人公はどんな記憶も忘れてはいけない、

乗り越えるべきだと主張する。

対して、彼の幼馴染は忘れないと幸せに生きられない出来事だってある、

記憶屋はそんな人たちを救っていると言う。

どちらが正しいのだろう。

 

主人公と彼の大学に来た弁護士が出会い、

記憶屋に会うため、記憶屋の謎に迫っていくストーリー。

でも激しいものではなく、人間味のあるミステリーだった。

原作を読んでいないので、読んでみたいとは思ったが、何か物足りない印象。

理由は分析できてないので、不明。

しかし、カジュアルなトークセリフは好きだったし、情景を写すカットは綺麗だった。

役者さんの方々も申し分なかったと思う。

 

自分ならどの立場かなと考えながら観る作品。