逃避行

映画・小説・舞台・音楽

『島はぼくらと』を読み終わって思ったことを書いてみたい。(ネタバレ含む)

「島はぼくらと」読み終わりました!!!!

 

ってことで、共有しておきたいと思ったことを書きたいので書いてく!

共感してくれる人いたらいいなぁ。

前置きしておくと、私は読書家というわけでもなく書評ができるほどの語彙や読解・作文力も無いので、まぁダラダラ感想文と思って気軽にみてほしい、お願いします(笑)

 

 

 

 

※以下ネタバレ含む

全体のざっくりとした感想

島の主人公にあたる学生4人にとっての日常のような非日常のようなお話だなっていうのが第一印象。今まで当然だと思っていたことが、崩れたり新しい風が吹いてきたりして当たり前じゃなくなっていく過程や島で生きることとは何を意味するかを知っていく様子が素敵な描写と共に描かれていると思った。様々な小さな謎(例えば両親や祖父母の過去、Iターンやコミュニティーデザイナーの素性、幻の脚本等)が散りばめられていて、それが日々の生活の一部として溶け込みながらも明かされて新たな日常へと移り変わっていく。でもその新たな日常も当然の日常にいつの間にかなっている、凄くその点に関して共感性を強く感じた。私は島育ちではないから、違うところはもちろん沢山あるけれど、”故郷”というキーワードで似通ったところも少しあると思ってる。そして村特有な人間関係が面倒くさそうに思えるけど、少し羨ましかったりもした。4人の関係性の初々しさや東京での”冒険”に青春を感じたし、そういう経験をしていることにちょっと嫉妬する。

好きなシーン

・武智のおばちゃん(P.238)

 「さえじま」がテレビの取材を受けるかどうかで村長と揉めて、「さえじま」の存在意義と朱里の母親が会社に対する想いを語る場面。島を大切に思っても、決め手に欠けて残れなかったのではと島に帰りたかった武智のおばちゃんに対して後悔している朱里の母親が「さえじま」をどうして守って頑張っているのかを話しているのを読んだ時、うるうるしちゃった。後悔ってどうやったって後悔のまま残ってしまうけど、それを強い想いに変えて、「島での居場所」を作って島の人たちがここにいてもいいという明白な”存在場所”を守る、と頼りになる朱里の母親の姿がとってもかっこよくて惚れる。

・村長とヨシノ(P.282)

テレビのことでギクシャクな雰囲気があったにも関わらず、ヨシノの最後の滞在の日、普通に会話して、しかも村長は手伝えることがあれば助けるとも提案していた。このシーンに関して、大人ってこんな人たちのことを言うのかなとも思った。村長には村長の、ヨシノにはヨシノの大人の対応があって、やり方があって、考えがあって、相容れない事があるけど引きずりすぎないし、必要なら必要と言う。この時、朱里と同じ気持ちになった。村長は個人的な事情はありながらも、火山の島を本当に大切に大事に責任を持って守ってきて、災害時の”人”の難しさを知っているからこそ、福島に行くヨシノにも提案したのかなって思うと、二人ともかっこいい。

好きなセリフ

登場人物が言ったセリフや心に残っている文。今回は特に後半が多かった。

・「僕、医者なんだ」(P.260)

未菜ちゃんの赤色の吐物で蕗子が混乱の中、本木が自分の素性を明かすところ。優しさがあって、安心させられる最強な一言。医者に向いてないと医者になるのをやめたけれど、医師免許を持っていると言う点で一歩蕗子や朱里たちと近づいた場面だからこそ、印象的。というかかっこ良すぎよね、どうしていいかわからない不安な中でこのセリフは。

・”子どもは、必ず戻ってくる”(P.373)

幻の脚本が二十パターンもある理由を語った作家さんの言葉を朱里が大阪の帰りに思い出したところ。噴火があって今は少なくても、絶対戻ってくる、という意図。噴火があった頃の島の人たちは一時避難したり去っていく人までいて不安だっただろうし、寂しかっただろうし、何よりこの島の先行きが怖かったのもあるだろうけど、その中でこの脚本が朱里の祖母や特に碧子さんにとっての”光”や”希望”みたいな支えの一部だったのかもしれないなと思う。故郷や大切な場所がなくならないための。そう言った意味でも、この脚本家さん、すごい。

・「衣花。ーだから、待っててよ」(P.407)

新が衣花に言ったセリフ。これはもう、キャー!(//∇//)案件ですよ。ニヤニヤしちゃったよもう、初々しすぎて!!自分の気持ちがはっきりしてなくても、これ言われちゃ、ときめきMAXでしょーよ。いいなーいいなーいいなー。別の箇所に比べてここの文章だけ異様に語彙力ダウンしてるけど、気にしないで。キュンキュンするっきゃないっしょ、この場面は。

・”私はここで、生きていく。”(P.409)

高校生としての一番最後の場面、衣花の覚悟が本気だって伝わってくる。印象に残る強い一文だなって思った。不安要素もあるけれど、島で生きていくことを決断するような。どう言語化していいのかわからないし、なんなら私自身、自分が何言いたいかよくわかってないけど、素直にかっこいいって思った。

 

赤羽環(P.340)

この名前を聞いた時、あれ?なんか知ってる…。って思い出したよ、スロウハイツの神様。結構前に読んだから、内容があやふやだけど、流石に名前は覚えてたみたい!全く事前情報なしでこの作品を読んだから出てきた時は驚いた。辻村深月先生のこういう繋がっているところ好きです。またこれを機に、スロウハイツの神様読み直してみようかな。

 

幻の脚本の凄さ

フィクションだとわかっている上で話すけど、この作品を作ったウエノ氏がプロだなと感じるのはやっぱり学芸会の脚本だということをしっかり意識していて、且つその学芸会の意義を理解して脚本を書いているというところだよね。”島と学校が、観ている人を交えて盛り上がることだ。”(P.372)はまさに的を得ているし、そこに他の演劇脚本と遜色ない熱量が込められているってすごいこと。そして正にその意図通りにこの学芸会が成功していることに感動した。脚本家になりたいわけじゃないけど、こういう状況に応じて物に関わらず熱を持ちながらするプロの仕事って憧れるなぁ。

 

最後に

よくよく自分の感想文たちを読み返してみると、私は”かっこいい”基準で感想書いてるんだなってわかってくる。もっとぴったり当てはまる言葉があるかもしれないけど、それが出てこずに似たような語彙ばっかになっているのがなんとも恥ずかしい。これからもちょくちょく感想書いていこ。今回初回でまあまあ時間がかかっちゃったから、次回からはもう少し短くなるかもしれないけど。

 

ここまで読んでくれてありがとう。

 

ゆずりんごの蜜

島はぼくらと

 

P.S.

どうでもいいことだけど、もしこの作品の登場人物で推し選ぶなら、新かな。

衣花も好きだから嫉妬なんかはしないけど(笑)

では。