逃避行

映画・小説・舞台・音楽

『望み』は絶望と希望が入り乱れる複雑な重さがある。

映画『望み』

終始、暗く物事が進んでいく。

息子は被害者なのか、加害者なのか。

確かな情報が何もない中、

色んな人に家族は苦しめられる。

 

被害者であっても加害者であっても、

そこにあるのは絶望しかない。

被害者であれば肉体の死を意味するし、

加害者であれば信じていた息子は消え、家族は今よりも苦境に立たされる。

 

マスコミや記者、息子の同級生など。

どちらを望むかなんて酷だけれど、

登場人物は皆、どちらかを望んでいた。

その中でも、親の苦悩は痛いほど伝わった。

生きていることに希望を持つのか、

優しい子であることに希望を持つのか。

 

 

言うなれば、全然私の身に関係のない家族の話。

なのに容易に感情移入ができた。

はじめの家族写真を見たことが効果的だったのかもしれない。

さらに警察の方の無感情ぶりが

家族の感情をより際立たせていた気がする。

あとは役者さんの演技。

皆さん素晴らしかったです。

 

個人的には岡田健史くん演じた息子の規士に少し共感した。

親の言葉は少し鬱陶しいなと思うことがあるけれど、

心のどこかには残っていて、的を得ていることが多くて。

でも素直になるのは難しい。

そんなところ。

 

最後まで胸が締め付けられる映画だった。

 

ゆずりんごの蜜

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望み

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